美容院でトリートメントの説明をしていると、意外と知られていないのが CMC(シー・エム・シー)。
聞いたことはあっても、
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「髪の油分みたいなもの?」
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「トリートメントの一種?」
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「なんとなく保湿ってこと?」
と、曖昧なイメージの方が多いです。
でも実は CMCは髪の内部構造を支える“基礎”であり、髪の扱いやすさの9割に関わるほど重要な成分 なんです。
美容師の視点で、難しい専門知識をやさしく解説していきます。
■ CMCとは?一言でいうと“髪の脂質のり(接着剤)”
CMC(細胞膜複合体)は、
髪のタンパク質(ケラチン同士)を“つないでいる脂質の膜”のこと。
役割はたくさんありますが、超シンプルに言うと…
髪の内部で、水分・油分・栄養を出入りさせる“通り道”を作っている。
そして髪の柔らかさやしなやかさを決めている。
つまり「髪のしなやかさ=CMCの状態」と言っても過言ではありません。
■ CMCの主な役割(ここが超重要!)
● ① 水分を保持する(潤いの源)
CMCがしっかりある髪は水分を抱え込むので、
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ぷるん
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柔らかい
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広がりにくい
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まとまりが良い
という質感になります。
● ② 栄養や薬剤の通り道を作る
これはほとんどの人が知らないポイント。
CMCは 髪の内部に“道”を作っている成分 なので、
カラー剤・パーマ剤・トリートメント成分の浸透にも深く関わります。
→ CMCが不足すると、カラーが染まりにくい・パーマがかかりにくい。
● ③ キューティクルを柔軟に保つ(手触りの要)
CMCはキューティクルの“間”にも存在します。
不足すると、
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ガサガサ
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引っかかり
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毛先のバサつき
が出やすくなり、
逆にCMCが整うと 手触りが滑らかで扱いやすい髪 になります。
■ ダメージでCMCはどうなる?
カラーやブリーチ、熱ダメージを受けると、
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CMCが溶け出す
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表面が乾燥する
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薬剤の通り道が崩れる
結果として、
→ 水分を保てない → パサつく → まとまらない → 広がる
という“乾燥ループ”に突入します。
実際、美容師が「乾燥毛」「広がる」「艶がない」と判断する時、
ほぼ例外なく“CMC不足”が起きています。
■ PPTとの違いは?(ここめちゃ重要)
● PPT=髪の骨・筋肉(タンパク質)
→ ダメージでスカスカになった内部を補強
● CMC=髪の皮脂膜+接着剤(脂質)
→ 柔らかさ・水分保持・栄養の通り道を作る
つまり、
「補修がPPT」「状態を整えて扱いやすくするのがCMC」
→ 両方揃って初めて髪が綺麗に育つ。
サロンでPPT→CMCの順で使うのは、そのためです。
■ 美容師がCMCを使うときの施術例
◎ カラー前のCMC補給
→ 薬剤の浸透が均一になり、ムラ防止・色持ちUP。
◎ 縮毛矯正前のCMC補給
→ アイロンの熱に負けない柔軟性を作る。
◎ 超ダメージ毛のトリートメントの初手
→ 水分が入らない“バサバサ毛”に潤いの通り道を作る。
CMCは施術のクオリティを左右する、最初に整えるべき土台です。
■ サロンのCMC / 市販のCMCの違い
● サロンのCMCの特徴
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脂質の質が高く、髪の内部に馴染みやすい
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分子が細かい
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熱で定着させやすい
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カラーやパーマとの相性を調整できる
● ホームケアのCMCの特徴
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表面の保湿&柔らかさUPがメイン
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べたつきにくい処方
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ダメージ予防向き
→ 本当に効くCMC補給はサロンでしかできない理由がここ。
■ どんな人にCMCがおすすめ?
✔ 乾燥毛
✔ 広がってまとまらない
✔ エイジング毛(パサつきやすい)
✔ カラーの色持ちを良くしたい
✔ 手触りを柔らかくしたい
✔ 表面がパサつくミディアム〜ロング
→ ほぼ全ての髪質に必要で、特に女性は98%がCMC不足。
■ まとめ:CMCは髪の“柔らかさ・水分・扱いやすさ”を決める最重要成分
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CMCは髪の脂質で“栄養の通り道&水分の保持係”
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不足するとパサつき・広がり・引っかかりが出る
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PPTとセットで補うことで髪が圧倒的に綺麗に
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ダメージ毛・乾燥毛ほどCMC補給の効果は大きい
髪を綺麗に育てたいなら、
「CMCの補給」こそ最初にやるべきケアです。

当ブログ別記事ではPPTについても紹介しているぞ。


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